この記事の監修者 篠原 昌志
(株)ココテラス代表取締役/一卵性の双子/山口県出身/職人・施工会社が薄利というリフォーム業界の悪い収益構造改革をする事を目標に、定額制リフォーム「イメチェン」のFC本部を運営。
現在全国37拠点で展開中。リフォーム事例を紹介するYouTubeのチャンネル登録者は1.5万人。
2022年4月から食品や定番のおやつ、紙おむつまで幅広い商品の価格が引き上げられました。
リフォーム費用も同じで大手メーカーの大半が建築部材の値上げを昨年末に発表し、リフォーム業界に激震が走っています。
原状回復工事やリフォーム価格の値上げもさける事ができなくなりそうです。今回は建築価格が値上がりする背景と今後の行方についてお伝えてさせて頂きます。
木材価格の高騰
新型コロナウイルスが世間では騒がれ始めたが2020年2月です。
感染症拡大の影響により、日本では2020年4月緊急事態宣言が発動され、世界ではロックダウンを行う国もありました。
アメリカでは住宅建設が一時期落ち込みましたが、2020年5月のロックダウン解除後に莫大な財政出動と歴史的な住宅ローンの低金利政策が取られました。
その結果リモートワークの普及も後押しし、郊外に住宅を建設する人や自宅をリフォームする人が増加した影響により世界的に木材不足になりました。
日本の住宅メーカーが使う木材の7割は輸入材に頼っている為、日本国内でも木材の調達が難しくなり価格が高騰した事から「ウッドショック」と呼ばれる様になりました。
一次的に木材の入手が困難になり新築住宅の引渡し遅延がおこりました。
物流コストの上昇
コロナウイルスの影響により、コンテナ不足と海上輸送の混乱の影響により物流コストが上昇しました。
世界的な巣ごもり需要の拡大や、中国での自動車・機械・電機などの生産が回復したことで一気に物流が増える中、製造を抑えていたコンテナが大幅に足りなくなりコンテナ船の遅延がおこる様になりました。
またアメリカの港ではコンテナの荷下ろしをする人材やトラックドライバー不足が原因で、港にコンテナ船の行列ができ海上輸送の混乱が起こり物流業外に大きな影響がでました。
感染者や濃厚接触者が休みになるというのはもちろんですが、大きな労働力だった移民の方々が本国に帰らされてしまって戻ってこれなかったり、ロックダウン中に一度離れた労働者が他の仕事についてしまったりと、コロナ禍の人材不足問題は様々なところでおきてます。
原油・ガソリン価格の高騰
コロナ禍によって原油の需要環境が大きく変化しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済活動がストップし2020年4月頃よりガソリンの需要が急激に減少した事により原油価格は急落しました。
その後ワクチン接種が進んだことから世界経済は再び回り始め、石油需要が急増したことにより、2021年2月くらいから小売価格が大幅に上昇してきました。
産油国の多くは原油販売が国家収入の大半を占めているため、先物価格が下がれば下がるほど利益を出すことができません。
そのため、コロナ禍の急落を踏まえ、慎重な姿勢を続けておりガソリン価格が値下がりする見通しが立っていません。ガソリン価格が高騰する事で輸送費が高くなり様々な物が高騰しています。
今後の行方
新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した、木材高騰、原油価格高騰、それに伴う流通の停滞など色々な要因が重なり合い原材料の高騰に終わりが見えない状況です。
またロシア、ウクライナ情勢の影響もあり、各国政府や企業がロシアに対して厳しい制裁措置を行い、その影響で世界的に「アルミニウム」や「銅」といった資源が高騰しています。
アルミニウムや銅は、さまざまな建物を建造する上でも非常に重要な資源なので、ロシア情勢が落ち着くまでは建築費の値上げは避けられそうにありません。
2022年4月日本政府もロシアからの輸入制限を行った為、再度木材が高騰し「第二次ウッドショック」状態になっています。
これらの影響により、リフォーム業界では10%~20%の価格値上げは避けれれないと考えられており、納品遅延の影響により工期も今まで通りは対応出来ないと推測されています。
リフォーム費用は入居者さんからの家賃で回収するしかないので、投資効果が悪くなってしまいます。
退去が出れば原状回復やリフォームが避けられない為、今まで以上に入居者に長く住んで頂ける対策や、リフォーム費用を安く押さえる工夫が必要不可欠です。