この記事の監修者 篠原 昌志
(株)ココテラス代表取締役/一卵性の双子/山口県出身/職人・施工会社が薄利というリフォーム業界の悪い収益構造改革をする事を目標に、定額制リフォーム「イメチェン」のFC本部を運営。
現在全国37拠点で展開中。リフォーム事例を紹介するYouTubeのチャンネル登録者は1.5万人。
空室対策の一つとして「広告料の増額」というものがあります。
賃貸仲介の営業マンさんのモチベーションを上げる効果がありますが、果たして入居が決まりやすくなるのでしょうか。
広告料を増額する効果を検証してみたいと思います。
私個人的な見解ですが、空室が長期化した物件の広告料を増額する事でそれなりの効果があると考えています。
しかしその効果は年々減少傾向にあると言われています。その理由を解説します。
長期空室のお部屋に「広告料を増額して入居を決める」というのは昔からある空室対策法の1つです。
賃貸仲介業者はオーナー様から預かった物件を入居希望者さんにご紹介し、契約が成立したタイミングで成果報酬とし売上が成り立ちます。
報酬の内訳は入居者さんから受け取れる「仲介手数料」とオーナー様から受け取れる「広告料」です。
業界内では広告料の事を「AD」と呼んでいます。
宅建業法で入居者様から受け取れる手数料は家賃の1カ月までと決まっているので、広告料が1カ月出ていれば受け取れる手数料は2カ月分となります。家賃5万円の物件であれば10万円が仲介店舗の売上です。
賃貸仲介店舗の多くの営業マンさんは基本給と売上に応じた歩合給が大半なので、1契約単価が10万より15万、20万の物件を優先的に入居者希望者さんにご紹介します。
よって仲介店舗の営業マンのモチベーションアップと物件情報を拡散する上で広告料増額はある程度の効果があると言えます。
実際、広告料が出ていない物件は紹介しないという営業マンが多く存在するのが現状です。
家賃5万円の物件が半年間空室が続けは30万円の機会損失です。
繁忙期でない時期であれば、募集条件を変更しない限りいつ決まるかわかりません。
仮に3カ月空室が続く事を考えれば、広告料を増やし入居が決まれば家賃が入ってきます。
よって空室が長期化している状態であれば広告料を増額し様子を見るのはまったく問題ない事ですし、万が一効果が無いようであれば元に戻せば良いだけです。
広告料増額の効果が年々減少している理由
しかし、年々広告料増額による客付け効果が減少傾向にあります。
その理由は「インターネット」と「スマートホン」の普及です。
「インターネット」と「スマートホン」が普及する以前は、最新の「空き物件情報」は仲介店舗の営業マンさんから取るしか方法がありませんでした。
よって仲介店舗に訪問し営業マンさんから紹介してもらった物件の中から選んで、内見に行きお部屋を決めるという流れが一般的でした。
しかし近年は自宅でも電車の中でも簡単にスマホから最新の情報を取得する事が可能になりました。
相場賃料や類似物件を調べた上で不動産会社に問合せする事ができるようになったので、以前のように営業マンの「営業力」でお部屋を決めるのが難しくなりました。
広告料が高いからといって入居希望者さんが望んでいない物件をご紹介する事で「信頼関係に傷が入るリスクがある」というのが現場の声の様です。
空室が長期化した物件に広告料を増額する事で入居が決まる可能性もありますが、今の時代「営業力」に頼るより、「物件力」を磨く必要があると個人的に思っています。
入居者が付く募集条件に改定するか家賃を下げたくないのであればある程度の投資を行い、物件のポテンシャルを上げる努力が必要不可欠になってきたと感じます。